田中正吉遺作展開催概要

美術研究所「東町工場」の企画として、田中正吉遺作展を開催します。本展は、三股町のみならず都城地域の文化活動に尽力された画家田中正吉の作品からその一部を紹介するものです。

田中正吉は、1929年(S4)福岡県大牟田市に生まれ、6歳の時に山田町に帰郷しました。その後、宮崎師範学校で岩尾信夫、出水勝利に師事し、卒業後は、吉之元小学校を皮切りに、主に都城地域の公立中学校で美術教諭を勤めました。吉之元小学校から三股中学校、大王小学校、西岳中学校、妻ヶ丘中学校、五十市中学校、山田中学校、そして三股中学校を最後に定年退職しました。在任中は、長きにわたり都北地区造形教育研究会会長として幼保、小中学校の造形教育のリーダーとして尽力されました。学校以外でも三股町文化協会会長、美術団体「彩無会」会長、都城市立美術館協議会委員を歴任し、社会教育へも努力を惜しみませんでした。2006年(H18)には三股町功労賞(芸術部門)、2010年宮崎県教育長賞(芸術部門)、2011年文部科学大臣賞(地域文化振興)、2013年三股町文化賞(芸術部門)を受賞されています。

1997年の都城市美術展で特選(市長賞)に輝いた作品「虚像」は、現代の人間性を疑ったシュールな作品で三股町立図書館に寄贈されています。また翌年の50周年記念宮崎県水彩画展と公募展では、特選(MRT放送賞)も受賞しています。

今回の展示では、自宅に遺された100号の大作からサムホールサイズの小品まで約130点の中から厳選して展示します。題材には、港にとどまる滞船、廃船を題材とした風景画、国内外を旅行し描いた風景画。そして地元三股や霧島の風景画、バラや椿といった花を描いた静物画などで、それらの中には画家田中正吉の豊かな感性と確かな表現力を見ることができます。

本展は、没後5年となるのを機会に都城市立美術館アンモナイト・ギャラリーの2会場で開催します。特に美術館で展示する大作は、ご希望の方へ寄贈しますので、受付までお声掛けください。どうぞ、画家田中正吉を振り返り制作の全貌をお楽しみ下さい。