阿部健二+Kenbo「家遊人暮らし」
Ammonite Galleryがオープンした2022年にメンバーで最初の個展を開いた阿部健二の展示を一年半ぶりに開催します。
阿部健二の作品は、歴史的な視点と自身の生き物に対する興味から湧き出てくるものでした。特に、評判となった立体作品は、月や、自然、海にすむ私たちに身近な生き物を題材とし、その特徴や生態・性格を巧みに造形化し、和風なたたずまいの作品として仕上げられていました。今回は、何でもない私たちの日常を、架空の宇宙人、家遊人(うちゆうじん)に託し、描き出します。その名も「家遊人暮らし」。架空のキャラクターの織り成す日常をユーモアたっぷりに表現します。
日々仕事や雑事に追われ、自分を見失いがちな私たちの生活を思うと、双子の宇宙人が繰り広げる真面目でコミカルな世界は、どこか現代人の日常をクリティカルに浮かび上がらせてくれます。
平面作品から始まった「家遊人暮らし」シリーズのうちのいくつかは、立体作品としてそのリアリティーを高め、漆や箔、顔料といった伝統的な素材を使った巧みな技術で、その世界観を深めています。さらに、そのキャラクターは、LINEスタンプにも発展しており、地球侵略をたくらむ“家遊人”のあざとい戦略に私たちはどう対処すればいいのでしょう。そのために本展の鑑賞をお勧めします。